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3月24日『ペテン師のソネット』 於西荻窪サンジャック

  • 2011/03/24(木) 12:00:02

出演
日比谷カタン
山田庵巳


変わり種のブッキングが多いサンジャックでのライヴに於いて
何だかオーソドックスなセットだなー、と思ってしまう…
のは、“刺戟に馴れすぎた現代人”を象徴しているようだ。

なんて思っていたら、予想をはるかに上回る
スペクタクルなライヴでしたよ。

先手は、日比谷カタン氏。
1曲目は“魔の時”
サンジャックの暖色系の照明と、この曲の一見持つ柔らかさは、
すごく相性がよいのです。

穏やかに過ぎゆく日常を保つために、
かつての激情を必死で抑え込む主人公の歪み、
というのが、間奏以降のギターの展開に徐々に、徐々に表れてくる。

迷ったままで結ばれる、もやもやとした触感を吹き飛ばすように
“ブツブツ膏”へ。
初めて並べて聴いて思ったのは、
“魔の時”とこの曲は、ひとつの日常におけるネガとポジのようだ、と。

そして“ウスロヴノスチの切符切り”から、合言葉は
今回のイヴェントタイトルの元ネタである、
さだまさし氏の“道化師のソネット”
勿論しっかり“ペテン師のソネット”へメタモルフォーゼしていましたが。
そこからAC「金子みすゞ篇」の改変Ver.へと続き、一息。

ここのMCで初めて
「チャリティー・ハラスメント」
(『慈善』ということばの持つ影響力に便乗した
無言の圧力や、免罪符的使い方、という風に解釈しています)
ということばが顕在化し、
しかも驚愕の事実が明かされます。
今夜のライヴは

日比谷カタン→震災担当
山田庵巳→復興担当


という役割分担になっている、と…!
この流れでそんな発表をされた山田氏、カウンター前で苦笑…。
更に
「殺し屋の曲をやろうと思ったけど、物騒なので、テロリストの曲にします」
との宣言のあとに
“椛狩~赤の運命~”続けて“畸形認メ申ス”を頭から、というレアな展開に。
そこから後半にはお馴染みの2曲で、緊迫感を保ったシリアスな流れで幕…

かと、思いきや。

静かなアルペジオから
L'Arc~en~Cielのカヴァー“forbidden Lover”に続く。

『Ark』(方舟)というアルバムの1曲目に収められたこの曲は、
あまりにも詩的で物語的でありながら、現状とリンクするところが多すぎて、
まったく違う意味合いを持って響いてくる。
カヴァーをやるときは、原曲の歌い手の歌唱法や声を意識するカタンさんも
このときは、ほぼ地の声で歌っていた。
正面を向いたまま、後半の熱の入り方は、
聴き手の感情移入を促すにじゅうぶん過ぎる程。

さて
未曾有の禍の爪痕を残して、
復興のシナリオは山田庵巳氏に託される。


この日のサンジャックは、庵巳さんの歌やことばが
いつになくはっきりと聴き取れて、
『語り部としての山田庵巳』の力が、
遺憾なく発揮されていたように思います。
おかげさまで、はじめて明確にタイトルを知れた曲も、いくつかあった…。

“復興担当”という役割に対し、延々と
「僕には、歌うことしか出来ないんだ」というJ-POP的(山田庵巳調べ)センテンスを
口にするかすまいかの逡巡述べつつ、
そんなMCと短めの曲を織り交ぜる庵巳さん
実際はそんなに短くないんだろうけれども、
“赤い月”“機械仕掛乃宇宙”という大曲のインパクトが強く、
3~4分の曲を“短い”と感じてしまう。
けれど、このサイズの曲たちにこそ、
“詩人・山田庵巳”の真骨頂も見て取れる。

そして中盤にさしかかり“機械仕掛け乃宇宙”
これは物語がくっきりとしていて、
いくつもの展開は組曲のようだし、
いわば“叙事詩”のような壮大さを持つ。
この“ひとりの青年とひとりの少女”の儚すぎる出会いは
アチコチに偏在している。
のだと思うけれど、これをファンタジックな寓意で彩って、
かつ、多くのひとの耳に解りやすく心地よく、
かなしみを届ける歌い手のちから、というのは
すごく大きい。

この大曲のあとに続いた“命の傍らに”は、
そのちからが湧き出ている。
うつくしい大和言葉と、浸透しやすいメロディ。
それを支えるアルペジオの平穏も、
泉のように、静謐で、だけど止むことのない生命力を蓄えている。
もともときれいな曲だ、とは思っていたけど、
こんな風に感じる程、ことばの細部までを求めて聴いたのは
この日が初めてだったかもしれない。

そしてまた、叙事詩的な“赤い月”
やたらとスウィンギンな“窓辺のダンスホール”から続く
この物語も無常感に満ちていて、
主人公が猫(珍しい雄の三毛猫、ミケ=ランジェロ)というところが
より聴き手をメロウにさせる。

ことばだけでも無く、メロディだけでも無く、声だけでも無く。
その三位一体に、八弦ギターというあの不思議な楽器が不可欠。
その4つを巧みに使いこなす庵巳さんなら、
少なくとも
疲弊し始めた心の換気を促す、ということは可能なんじゃないか、と思う。

“もしあなたが”で、そっとギターを置いてステージを降りた庵巳さんを、
会場の拍手は離さなかった。
また苦笑しながら戻ってきた彼は、
ついに
「僕には、歌うことしか、出来ない…」
と(その前も何度か言ってたんですが、ようやく)
決め台詞的に呟いて、アンコール。
あたたかな“かぼちゃのスープ”で幕を下ろす。


3月24日。
この日、この組み合わせでライヴがあった、ということは
ほんとうに偶然、なのだけれど。
「日比谷カタン→震災担当
山田庵巳→復興担当」

という擦り合わせは、
あまりにもよく出来ていた。
出来過ぎなくらい、時局を読んだ素晴らしきペテン。

そこに物語を読み取るのは、当然、受け手の勝手なのだけれど
そうさせてしまうくらいのスペクタクルが、ライヴにはあってほしい。
だって『事実は小説より奇なり』なんだもの。

各々のセットリストは、こちら→。

■日比谷カタン

魔の時
ブツブツ膏
ウスロヴノスチの切符切り
~合言葉“ペテン師のソネット”(さだまさし“道化師のソネット”カヴァー)
~公共広告機構(AC)CM「金子みすゞ篇」パロディ
椛狩~赤の運命~
畸形認メ申ス~逆抵牾参る(イントロ及び中盤のシークエンス)
終末のひととき
対話の可能性
forbidden lover(L'Arc~en~Cielカヴァー)



■山田庵巳

模範的な黒
砂の道
絵筆
機械仕掛乃宇宙
命の傍らに
窓辺のダンスホール
赤い月(桃子は三度振り返る)
もしあなたが

かぼちゃのスープ

※曲順・曲名は、twitterの投稿より参照させていただきました。
ご協力ありがとうございます。

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